住宅手当の相場:平均1.7万。意外な落とし穴と自治体の家賃補助

住まい・引越し・暮らし
  • 住宅手当の全国平均額は1万7000円
  • 全業種の中で最も支給額が高いのは情報通信業
  • 住宅手当は給与と同じ扱いで課税対象
  • 住宅手当を支給する企業は年々減少
  • 自治体の中には家賃補助をしている場所も
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住宅手当の相場表(従業員数・業種別)

従業員数別

従業員数

住宅手当(円)

1000人以上

1万9333

300~999人

1万7818

100~299人

1万5832

30 ~ 99人

1万4359

住宅手当を支給された従業員全体の平均額は月1万7000円です。2010年度調査では1万6890円で、金額はほとんど変わっていません。

 

住宅手当の支給額は、従業員300人~の企業で平均の1万7000円程度、1000人以上の大企業で1万9333円となっています。

業種別

業種

住宅手当(円)

鉱業、採石業、砂利採取業

1万1136

建設業

1万6760

製造業

1万4178

電気・ガス・熱供給・水道業

1万466

情報通信業

2万5312

運輸業、郵便業

1万5471

卸売業、小売業

1万8305

金融業、保険業

1万9151

不動産業、物品賃貸業

2万571

学術研究、専門・技術サービス業

1万9808

宿泊業、飲食サービス業

1万5442

生活関連サービス業、娯楽業

1万7753

教育、学習支援業

1万9189

医療、福祉

1万5727

複合サービス事業

1万2091

サービス業
(他に分類されないもの)

2万3480

全業種の中で最も支給額が高いのは「情報通信業」の2万5312円。情報通信業には、テレビ・ラジオ産業や、携帯電話、通信インフラ、Webサービス産業などが含まれます。

 

それとは反対に最も低いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」で1万466円となりました。

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住宅手当とは?

住宅手当は、従業員の住宅ローンや家賃などの住まいに関わる費用を会社が一部負担する制度のことです。家賃補助、住宅ローン補助といった呼ばれ方をすることもあります。

 

手当という名前はつくものの、法律上は給与の一部とされ課税対象となります。

住宅手当の種類

住宅手当は大きく分けて、以下の2つに分けられます。

  • 家賃補助:入居しているアパートやマンションなどの賃貸住宅の家賃を補助
  • 住宅補助:ローンを組んでいる住宅の支払いを補助。実施している企業は家賃補助ほど多くない

ローンの残っていない持ち家の固定資産税を補助する住宅手当は基本的にありません。

住宅手当の支給形態

住宅手当の支給形態は主に2つあります。

① 給料に住宅手当を上乗せ
月給 20万円+住宅手当 1万5000円=月給21万5000円
② 給料から家賃を天引き
家賃 6万5000円-住宅手当 1万5000円=5万円
月給 20万円-5万円=月給15万円

この場合、同時に家賃も支払われた形となります。

 

ぱっと見では①が得しているように見えますが、①は21万5000円から家賃6万5000円を払わなければならず、最終的に15万円となることに変わりありません。

 

住宅手当の支給条件

どのような人が住宅手当を受けられるかは会社ごとの規程によって異なりますが、以下の4つの条件を設けている企業がよく見られます。

  1. 会社から住居までの距離
  2. 賃貸住宅であること
  3. 世帯主であること
  4. 正社員であること

 

詳しく見ていきましょう。

1.会社から住居までの距離

企業側の視点で考えたとき、住宅手当は福利厚生の一環であるとともに、なるべく職場の近くに住んでもらって通勤時間を短縮して欲しいという意図があります。

 

その場合、「オフィスから〇㎞以内、電車で〇分以内」といった通勤時間の条件が設けられることがあります。

2.賃貸住宅であること

住宅手当の対象が家賃のみの場合、住宅ローンなど持ち家に対する補助はないことがほとんど。支給形態が給与天引きの場合、持ち家への補助は実質不可能でしょう。

3.世帯主であること

夫婦や親子で同じ会社に勤めている場合、両方が住宅手当を受け取ると二重取りになってしまいます。それを防ぐため、住宅手当を受け取れるのは世帯主のみと限定されることがあります。

4.正社員であること

支給条件に「正社員」とあるケースはよく見られます。

 

有給休暇とは異なり法的にすべての従業員に付与するものではありませんので、仕事への従事度が高い従業員へのインセンティブとして設けることが多いのでしょう。

住宅手当の金額には基準がない

住宅手当には法的な基準はありません。統一的な基準も存在しないため、会社によって支給額は異なるものの、以下のような基準が主に用いられます。

 

  • 上限額(家賃の〇%まで など)
  • 給与に応じて割合支給
  • 業種・役職ごとに規定
  • 役職、給与、家賃にかかわらず一律同額

住宅手当を支給している会社の割合

住宅手当を支給している企業の割合は、

  • 大企業:約6割
  • 100人未満の中小企業:約4割

となっています。

 

▼従業員数ごとの支給割合

従業員数

支給割合(%)

1000人以上

59.1

300~999人

59.7

100~299人

55.3

30~99人

41.4

極端な差はないものの、やはり資本に余裕のある大規模企業の方が住宅手当には積極的だといえます。設立から日が浅い企業は、そもそも住宅手当を設けていないことも。

 

▼業種ごとの支給割合

業種

支給割合(%)

鉱業、採石業、砂利採取業

34.1

建設業

42.8

製造業

45.6

電気・ガス・熱供給・水道業

60.6

情報通信業

56

運輸業、郵便業

27.8

卸売業、小売業

43.5

金融業、保険業

56.4

不動産業、物品賃貸業

51.9

学術研究、専門・技術サービス業

63.9

宿泊業、飲食サービス業

33.1

生活関連サービス業、娯楽業

49.8

教育、学習支援業

57.6

医療、福祉

63.7

複合サービス事業

44.9

サービス業
(他に分類されないもの)

23.2

業種別でみると、学術機関や研究機関のほか、インフラ関係の企業も住宅手当の支給割合が高いことがわかります。

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住宅手当の意外な落とし穴

家計の助けとなる住宅手当ですが、思わぬ落とし穴がひそんでいます。

税負担が増える

住宅手当は給与の一部となり税負担が増える

住宅手当は給与の一部となるので、これらにも影響して税負担が増えてしまいます。

  • 所得税
  • 住民税
  • 年金保険料
  • 健康保険料 など

住宅手当は全額を住宅費にまわせるわけではありませんので注意が必要です。

給与に見合わない場所に住んでしまう

住宅手当が支給されると、その分選べる物件に幅が出るためつい家賃の高い場所に住みたくなります。ただ住宅手当は基本給と違い、会社の状況次第でいつ打ち切られてもおかしくありません。

 

住宅手当に頼ってしまうことで、いざ打ち切られたときに生活コストを下げられずに貯金ばかり減ってしまうリスクも。

 

住宅手当はあくまで保険として、給与に見合った物件を選ぶことをおすすめします。

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住宅手当は減少している?その理由とは

かつては福利厚生の大部分を占めていた福利厚生ですが、この制度を採用する企業は年々減っています。

 

例えばこれらの理由が挙げられます。

  • 業績の悪化
  • 同じ仕事なのに給与格差ができる
  • ライフスタイルの多様化

 

詳しく見てみましょう。

業績の悪化

景気の低迷・業績の悪化により、住宅手当を優先的にカットする企業も多いようです。

 

住宅手当には法的強制力がなく、福利厚生の中でも大きな割合を占めるため、経費削減の手段としてコストパフォーマンスが高いのです。

同じ仕事なのに給与格差ができる

住宅手当は実質的に給与と同じ扱いなので、同じ仕事内容でも勤務地・住宅・家族構成で収入に差が生まれる可能性があります。

 

働き方改革により、同じ仕事に同じ対価を支払う「同一労働同一賃金」が推進される中、それに合わない住宅手当制度を見直す企業が増えているのです。

ライフスタイルの多様化

ルームシェアや事実婚、勤務地に囚われず好きな場所に住むなどライフスタイルが多様になり、住宅手当の支給条件(世帯主であること、自宅・会社間の距離の条件など)に当てはまらない従業員が増えたのも原因の1つ。

 

一部にしか支給されない住宅手当を継続するよりも、従業員全員が利用できる福利厚生に原資を回した方が社内の活性化につながると考える会社も増えてきています。

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住宅手当以外の住宅補助

社宅・社員寮

会社が社宅として借り上げている、または不動産として所有している社宅(社員寮)に、一定額の賃料を払って住む場合は、住宅手当のように課税されずに済みます。

 

住宅費を抑えるなら、住宅手当ではなく社宅制度を採用している企業を探すのも1つの手でしょう。

 

ただデメリットとして、

  • プライベートでも会社の人と会ってしまう
  • 会社を辞めるときには退去しなければならない
  • 賃料が一定額に満たない場合、差額が給与所得として課税対象となる

などの点があげられます。

 

課税されるかどうかは、直接確認してみましょう。

転勤補助

住宅手当は減ってきているものの、会社都合による転勤に補助制度を設けている企業は多いです。産労総合研究所によると、9割以上の企業が転勤に対して金銭的補助を設けていることがわかりました。

 

転勤補助の相場

  • 家族を連れて転勤:25万円程度
  • 単身赴任・独身者:10万円~13万円程度

従業員が近くに引越すと、住宅手当を支給する企業も

特にWeb関係のIT企業を中心として、会社都合による引越しでなくても家賃を補助する企業が増えています。

 

たとえばある企業では、こんな住宅補助も。

  • 会社から2km圏内に居住する社員に毎月3万円を上限に住宅補助を支給
  • 会社から2km圏内に初めて引っ越す場合、近距離奨励金20万円を別途支給

 

勤続年数が長い従業員に対して、どこに住んでも家賃補助を支給する会社も。精勤手当と組み合わせたような形の住宅補助なので、通勤距離を条件とした従来の住宅手当よりも公平に受け取られやすいのかもしれません。

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自治体の家賃補助制度

自治体の家賃補助制度

自治体によっては、家賃を補助する制度が設けられています。例えば新宿区では定住化の促進のため、学生・単身者と子育てファミリーに対する一定期間の家賃助成を行っています。

 

募集数と助成額・助成期間は次のとおりです。

 

▼新宿区民間住宅家賃助成(2018年度)

 

学生・勤労単身者向け

子育てファミリー世帯向け

助成額

月額1万円

月額3万円

助成期間

最長3年間

最長5年間

募集数

30世帯

50世帯

 

住宅手当の平均支給額が1万7000円であることを考えてみると、決して低い金額ではありません。倍率も4~5倍と現実的な数字です。

 

▼その他の地域の家賃補助制度

大阪府 新婚世帯、子育て世帯向けに家賃補助あり
名古屋市 子育て世帯向けに「特定優良賃貸住宅」あり
神戸市 新婚世帯、子育て世帯向けに家賃補助あり
福岡市 新婚世帯、子育て世帯向けに家賃補助あり
(2019年7月で終了)

自治体が指定する賃貸住宅「特定優良賃貸住宅」では、所得に応じて家賃の補助や子育て支援の補助が受けられることも。

 

就職先だけではなく、住んでいる地域や引っ越し先の地域の補助制度を調べてみましょう。

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福利厚生はトータルで考えよう

最近では、課税されてしまう住宅手当のかわりに非課税の福利厚生を充実させる動きが大きくなっています。

 

住宅手当を目当てに入社しても、いずれ廃止される可能性があることは念頭に置いておくべきでしょう。

 

また、住宅手当の代わりに下記のような、多様な福利厚生が登場している点も注目ポイントです。

  • 社内フリードリンク
  • スキルアップのための書籍購入補助
  • 各種外部サービスとの提携で利用できる割引制度 など

 

ライフスタイルと照らし合わせて、福利厚生を総合的に考えてみるとより満足度の高いワークライフが実現するのではないでしょうか。

 

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参考:

就労条件総合調査|厚労省(2015年)

産労総合研究所

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