- 仲介手数料の相場および上限額は「家賃1ヶ月分+消費税」
- 借りる側が負担する義務があるのは仲介手数料の半分のみ
- 仲介手数料が安くてもお得だとは限らず、トータルで見ると敷金・礼金で初期費用が変わらないことも
- 初期費用を抑えたいなら実店舗を持たないWEBサービスの利用がおすすめ
- 値下げ交渉のポイントは時季の選定と歩み寄り
仲介手数料相場表(家賃別)
家賃 | 仲介手数料 (家賃1ヶ月分+消費税) |
---|---|
4万円 | 4万4000円 |
5万円 | 5万5000円 |
6万円 | 6万6000円 |
7万円 | 7万7000円 |
8万円 | 8万8000円 |
9万円 | 9万9000円 |
10万円 | 11万円 |
15万円 | 16万5000円 |
20万円 | 22万円 |
仲介手数料の相場は「家賃1ヶ月分+消費税」
不動産会社が受け取ることのできる仲介手数料の相場は「家賃1ヶ月分+消費税」で、この金額は仲介手数料の上限として法律(宅地建物取引業法)で定められています。
たとえば家賃が10万円の物件を借りる場合、仲介手数料は最大でも11万円となります。実際に首都圏で、一人暮らしで家賃が7万円の場合、仲介手数料の相場は7万2360円です。
仲介手数料を半額や無料に設定している不動産会社もあります。しかし逆に上限額を超える仲介手数料が設定されていれば、法令を無視する悪質業者と考えて良いでしょう。
そもそも仲介手数料とは:不動産業者の主な収入源
仲介手数料とは、部屋を借りたい人と貸したい人の仲立ちをする不動産会社に支払う料金のことで不動産業者にとっての主要な収入源となります。
不動産会社が部屋を探している人に物件を紹介して、下見に付き添い、疑問を解消することで、借主は自分にピッタリの部屋をみつけることができ、大家は所有物件の空室を埋めることができます。その仲介の対価として仲介手数料を支払うわけです。
借主が支払うべき仲介手数料は半額分
実は仲介手数料のうち、借りる側が支払う義務があるのは半額分のみで、宅地建物取引業法で明確に定められています。つまり仲介手数料が10万8000円の場合、借りる人が支払うべき分は半額の5万4000円となります。
残りの半額は貸す側、つまり大家が支払うことが基本的なルールなのです。
仲介手数料の負担額を説明しない業者は要注意
借りる人と貸す人が半額ずつ仲介手数料を負担し合うのが原則ですが、双方の承諾があればこの限りではありません。たとえば借りる人が「借主が仲介手数料を全額負担する」という旨に承諾すればそれが認められます。
ひと昔前は部屋を借りたい人に比べて物件が少なく、大家の立場が高かったため借主が仲介手数料を全額支払うのが普通でした。現在でもそれを慣習としている不動産会社は多いのですが、実際には借りる側は半額以上支払う義務はないのです。
ですので、実際に交渉してみることで仲介手数料を削減できる可能性はあります。
ただ、仲介手数料を全額支払わせるのが当然だとしてこの点を説明しない、あるいは質問してもしっかり回答しない不動産会社については注意しましょう。
仲介手数料が安いとお得?注意すべきポイント7つ
仲介手数料は不動産会社の主軸となる収入源の1つのため、上限額である家賃1ヶ月+消費税分の金額に設定されているケースが多いです。一方、不動産会社や物件の中には、上限額の半額や無料となっている場合もあります。
仲介手数料が相場より安い物件には様々な理由があり、内容によってはかえってコストがかかることもあります。
仲介手数料の安さだけに惑わされず、家賃、敷金・礼金、管理費などのトータルコストを見て検討することが本当に良い物件の発見につながるのです。
1.不動産会社が物件を所有している
仲介手数料は、あくまで借主と大家との賃貸契約を仲介した場合に発生します。不動産会社が所有・管理している物件を契約する場合は、不動産会社との直接契約になりますので仲介手数料は発生しません。
2.大家が仲介手数料を支払っている
大家が仲介手数料を支払う契約になっている場合、そのぶん借主が支払う仲介手数料は少なく済みます。
一時的に大家の負担が増えることにはなりますが、仲介手数料を無料または半額にすることで1ヶ月でも早く空室が埋まれば、仲介手数料の負担分はすぐに取り返すことが可能なのです。
3.物件の契約が決まらず不人気
- 駅やバス停まで遠い
- 日当たりが悪い
- 部屋が狭い
- 設備が古い
などの理由でなかなか借り手が決まらない物件に対しては、仲介手数料が安くなることがあります。不動産会社にしてみれば、仲介手数料を据え置きにして契約が決まらないよりも、仲介手数料を割り引いて借り手が決まる方が収益になるからです。
4.大家から広告料を得ている
大家から広告料を得ている不動産会社の場合、仲介手数料が安くなっていることがあります。広告料は仲介手数料よりも法的な規制が緩く、仲介手数料以上の金額を設定することが可能です。
ですから、不動産会社としては仲介手数料を上限まで請求するより、初期費用を安くして契約を決まりやすくし、その成果報酬として仲介手数料以上の広告料を大家から得た方がより大きな収益となるのです。
5.家賃・管理費・共益費が高額になっている
仲介手数料が安い、あるいは無料である代わりに家賃が周囲の物件や相場より高く設定されていたり、管理費や共益費が高額になっていたりすることがあります。
「仲介手数料半額(無料)!」と宣伝して契約を決め、その後に徴収する料金で仲介手数料以上の収益を得るわけです。
6.敷金・礼金などに金額が上乗せされている
仲介手数料が安い代わりに、大家へのお礼の意味として支払う礼金、部屋を退去する時の原状回復に充てられる敷金などが高額になっている場合があります。
- 敷金・礼金・仲介手数料が全て家賃1ヶ月分
- 敷金と礼金が各1.5ヶ月分、仲介手数料が無料
どちらもトータルの金額は変わりませんが、後者であれば「仲介手数料無料!」という宣伝が打ち出せます。契約さえ達成できればトータルの収益は変わらないので、集客するための手段としてこのような方法を取る場合もあるのです。
7.付帯サービスで収益を得ている
不動産会社が入居者に対して独自の付帯サービスを提供し、それで収益を得ている場合は仲介手数料が安くなることがあります。
- 定額制のエアコン
- 水回りの定期清掃サービス
- 24時間対応のカスタマーセンターサービスなど
がその一例です。
これは2パターンあります。
- 不動産会社が自身で実施する場合
- 専門業者への紹介料として収益を得る場合
どちらにせよ契約が決まらなければサービスの収益にもつながらないので、仲介手数料を安くして集客を図っているのです。ただし、入居者にとって不要なサービスであれば、たとえ仲介手数料が安くてもトータルコストで損をする可能性があります。
初期費用を安く抑える方法 7選
入居時には、初期費用として家賃の5ヶ月分前後が必要です。内訳は以下のとおりです。
- 敷金
- 礼金
- 仲介手数料
- 前家賃
- 日割り家賃
- 鍵交換費用
- 火災保険料
仲介手数料を含め、入居に伴う初期費用はできる限り削減したいですよね。入居に関わる全体的な費用を視野に入れてコスト削減に取り組んでいきましょう。
切り崩しやすいところから取りかかることが初期費用を抑えるコツです。
1.敷金・礼金のない物件を選ぶ
敷金・礼金が無料の物件はゼロゼロ物件と呼ばれています。これらの物件を選ぶことで初期費用を大幅に減らすことができますが、ゼロゼロ物件は人気があり早々に埋まってしまう可能性が高いので迅速な決断が大切です。
また絶対数が少ないため、こだわりすぎると物件の選択肢を狭めてしまいます。初期費用を抑えることばかり考えて、快適な部屋に住めなくなってしまっては本末転倒です。
2.無店舗型の不動産仲介WEBサービスを利用する
近年では、店舗を持たずにWEB上のみで不動産仲介サービスを行う会社も登場しています。
- メリット:店舗の維持コストや人件費を抑えられるため、仲介手数料などの初期費用が店舗型に比べて安い・無料のケースが多い
- デメリット:物件の下見を1人で行わなければならない場合、知識がないと最適な物件を見つけられないこともある
3.仲介業者を通さず直接契約をする
物件の所有者と直接契約をした場合、不動産会社が介入しないため仲介手数料は発生しません。
大家が直接入居者募集をしている物件を探す
最近では、物件を探す人と大家を直接マッチングさせるWEBサイトも登場しています。このようなサービスを利用すれば、より広範囲で仲介手数料のかからない物件を探すことができるでしょう。
大家さんが直接借主を募集しているサイトはこちら>>
不動産会社が所有している物件を探す
不動産会社の場合、所有している物件があるか店舗で尋ねるのも有効な手段です。
4.フリーレントの物件を選ぶ
フリーレントとは、一定期間の家賃がかからない物件のことです。例えば1か月のフリーレントでは最初の1か月分の家賃は無料です。
- メリット:入居初月の家賃は前家賃として入居時に支払う場合が多いため、初期費用を抑えられる
- デメリット:フリーレント期間中に解約されないように契約期間が定められていることが多く、その場合は期間中に解約すると違約金がかかる。契約条件の確認が必要。
5.日割り家賃の値引き交渉をする
日割り家賃とは、月途中に入居した場合の当月の家賃のことです。1ヶ月丸々住むわけではないので、家賃を日割り計算した額を支払うことになります。
日割りは前家賃と同じく、入居時に支払う初期費用となることが多いのですが、敷金・礼金・仲介手数料などと比べて少額のため交渉次第では値下げや無料に応じてくれる可能性があります。
計算方法:(家賃÷当月の日数)×入居日数=日割り家賃
たとえば11月21日に家賃6万円の物件に入居した場合、
- 当月の入居期間は10日
- 1日当たりの家賃は6万円÷30日=2,000円
したがって、10日分の家賃2万円を支払うことになるのです。
6.相見積もりで値引き交渉がしやすくなる
同じ物件を扱う不動産会社が複数ある場合、各会社から見積もりを取る、いわゆる「相見積もり」を行うことで初期費用を抑えられることがあります。
たとえばA社・B社から見積もってもらい、B社の方が高かった場合、A社の見積もりを提示することで価格が交渉しやすくなります。B社は顧客を逃したくないのでA社より安い見積もりを提示する可能性があるのです。
他社の金額を提示して交渉のテーブルに着くのは有効な値引き手段です。
複数の見積もりが一括で出来るサイトはこちら>>
【SUUMO】賃貸(賃貸マンション・アパート)住宅情報でお部屋探し
7.入居は閑散期を狙う
不動産会社の閑散期は
- 繁忙期が落ち着く5月~夏
- 年末
初期費用は抑えたいけれど交渉は苦手という方にもおすすめのシーズンです。
この時期には部屋を探す人が少なくなるため、初期費用を安くできる確率が高まります。キャンペーンと銘打って最初から値引きした状態で募集している場合もあります。
というのも、大家や不動産会社といった貸し手からすれば、敷金・礼金を無料にしたり仲介手数料を全額負担したりしてでも空室が埋まった方が得なのです。
一方、繁忙期は
- 新生活が始まる直前の1~3月
- 会社で異動が行われる秋口
物件を探す人が多くなるため売り手市場となり、値引き交渉に応じてくれる可能性が低くなります。
初期費用は分割払いできることも
根本的な値下げにはならず、全ての物件が応じてくれるわけではありませんが、初期費用を分割払いすることで手持ちの現金が少ない状況でも契約することが可能です。
- メリット:大抵の場合はクレジットカードでの支払いとなるので、ポイントが溜まる
- デメリット:分割払いの金利や手数料などで一括払いよりも総額が増える
ほかにも特定の条件が発生することがありますので、契約時には
- 分割払いの審査に通らなかった場合のこと
- 引き落とし日に口座に残高がなかった場合のこと
などの確認をしましょう。
値下げされやすい費用項目
- 日割り家賃
- 礼金
礼金は慣習的なものであるため、比較的値下げされやすいものです。また、「割引に応じてくれたら即日契約してすぐに入居する」など、こちらからも相手に都合の良い条件を提案すると話し合いがスムーズに進みやすくなります。
初期費用の割引交渉を上手く進めるポイントは、割り引いてほしい費用を具体的に提案することです。
値下げされにくい費用
- 敷金
- 鍵の交換費用
- 保険料
これらは保証金の意味合いがあるため、割引が難しくなります。
まずは値下げできる部分があるか「問い合わせ」から
不動産会社も大家も、生活上のトラブルに遭った際には頼るべき存在となります。入居後の生活を十分考慮し、まずは貸主と良好な関係を保ちながら、値下げできる部分があるか問い合わせることから始めましょう。
初期費用を抑えるには不動産会社や大家との話し合いが大切ですが、それらの費用は貸主の収入源でもあることを忘れてはいけません。