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生活保護の金額:相場は5~20万円! 4つの条件と注意事項を抑えよう

税金・総務・労務
  • 最低生活費から収入を差し引いた金額が生活保護費として支給される
  • 住んでいる地域や生活状況などによって異なり、相場は約5万〜20万円
  • 受給の可否は資産や貯金の有無、労働能力などの条件で決まる
  • 生活保護の受給期間は節度ある生活を心掛けよう
  • 不正受給が発覚すると罰金や逮捕に繋がるケースも
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生活保護の受給金額の計算方法

生活保護の受給金額は、以下の計算式で求めることができます。

生活保護費=最低生活費(各種扶助+加算)−自身の収入

 

厚生労働省が定める最低生活費に自身の収入が満たない場合、最低生活費から収入を差し引いた金額が生活保護費として支給されます。

 

受給金額は住んでいる地域や世帯人数、年齢、生活状況などによって大きく異なり、相場は約5万〜20万円と幅広いです。

最低生活費

最低生活費は、住んでいる地域や世帯人数、年齢、生活状況などに応じて定められた各種扶助や加算を合算して決められます。

 

基本的には物価が比較的高い都心部は高く、地方は低く設定されています。また世帯人数が多く、年齢が若いほど多くの費用が必要であると見なされ、最低生活費が高くなる傾向にあります。

生活保護の扶助種類

扶助種類内容支給方法
生活扶助

1.食費や衣類などの個人的費用

2.水道光熱費などの世帯共通費用

合算して実費を支給
住宅扶助アパートなどの家賃定められた範囲内で実費を支給
教育扶助給食費や学用品など、義務教育を受けるために必要な費用規定の基準額を支給
医療扶助医療サービスの費用費用は直接医療機関へ
(本人負担なし)
介護扶助介護サービスの費用費用は直接介護事業者へ
(本人負担なし)
出産扶助出産にかかる費用定められた範囲内で実費を支給
生業扶助就労に必要な技能の修得等にかかる費用定められた範囲内で実費を支給
葬祭扶助葬儀にかかる費用定められた範囲内で実費を支給
その他扶助災害時の修繕費や入院費用など定められた範囲内で実費を支給

生活する上で必要な費用に対応した各種扶助が支給されます。

基本的には生活扶助と住宅扶助を合算した金額が、最低生活費の目安金額になるといわれています。

 

なお第1類にあたる生活扶助(個人的費用)は、地域や世帯人数に応じて0.7〜1%ほどの逓減率(ていげんりつ)を乗じて計算されます。

個人・家庭などの状況による加算

加算種類内容・支給方法
妊婦加算妊娠が分かった翌月から支給
産婦加算出産後から最大6ヶ月間支給
母子・父子加算一人親の場合、児童の人数に応じて支給
児童養育加算児童がいる世帯に児童の人数に応じて支給
障害者加算障害者手帳1〜3級に該当する人へ支給
冬季加算灯油・暖房代などに使用できる

各種扶助に加えて、個人・家庭などの状況に応じて加算されます。加算される金額は住んでいる地域や世帯人数、年齢などによって異なるため、各地域の福祉事務所へ相談しに行きましょう。

収入

もしも、最低金額より収入が多い場合は生活保護費を受給することはできません。

 

収入はアルバイトや派遣などで得た就労収入だけでなく、年金や手当なども含まれます。そのため十分な年金や手当を得ている場合、生活保護を受給できない可能性があります。

 

一方、年金や手当が少なく生活が困難な場合、生活保護と合わせてダブル受給が可能です。

 

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生活保護の受給金額例

生活保護の受給金額の具体例を紹介します。細かい金額は住んでいる地域や世帯状況によって異なるため、あくまでも目安として参考にしてみてください。以下、都市部に住んでいることを想定して算出しています。

パターン1:30代夫婦と児童1人(3歳児)の3人世帯

30代夫婦と児童1人(3歳児)の3人世帯

生活扶助(第1類+第2類)+15万円 (3.5万円×3人+5.5万円)
住宅扶助+6万円
児童養育加算+1万円
収入-10万円
受給金額計13万円

最低生活費は3人分の第1類生活扶助と第2類生活扶助、住宅扶助に加え、児童養育費が加算され計23万円です。

 

また夫は持病で長時間働くことができず、収入は10万円です。

 

最低生活費23万円から収入10万円を差し引いた差額の13万円が、生活保護費として支給されます。

パターン2:母子家庭で児童1人(4歳児)の2人世帯

母子家庭で児童1人(4歳児)の2人世帯

生活扶助(第1類+第2類)+12万円 (3.5万円×2人+5万円)
住宅扶助+5万円
児童養育加算+1万円
母子加算+2万円
収入-8万円
受給金額計12万円

児童がいる母子家庭の場合、生活扶助と住宅扶助に加えて、児童養育加算と母子加算が加わるため、最低生活費は計20万円です。

 

そこから収入8万円を差し引いた12万円が生活保護費として支給されます。

パターン3:高齢者夫婦2人世帯

高齢者夫婦2人世帯

生活扶助(第1類+第2類)+10万円 (3万円×2人+4万円)
住宅扶助+5万円
収入-0万円
受給金額計15万円

就労収入や年金などの収入が0円の高齢者夫婦の場合、最低生活費の15万円が生活保護費として支給されます。

パターン4:高齢者単身世帯

高齢者単身世帯

生活扶助(第1類+第2類)+7万円(3.5万円+3.5万円)
住宅扶助+5万円
収入-3万円
受給金額計9万円

年金収入が3万円ある高齢者単身世帯の場合、最低生活費の12万円から収入を差し引いた金額である9万円が生活保護費として支給されます。

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受給できる4つの条件

受給できる4つの条件

基本的に4つの条件を全て満たしていなければ、生活保護費を受給することはできません。また生活保護費は世帯単位で支給されるので、家族と同居している場合は全員が条件を満たしている必要があります。

1. 資産や預貯金がない

車や土地、家屋等の資産を保有していたり、預貯金があったりする場合は生活保護を受けることができません。なぜなら資産を売却したり貯金を崩したりすれば、生活費を捻出できると判断されるためです。

 

なお賃貸に住んでいるなら、自分の資産と見なされることはありません。また持ち家に住んでいるものの、売却して賃貸に引越した方が住宅扶助が高くなる場合、現状のまま保護を受けられる可能性があります。

 

さらに車を保有している場合でも、車がないと通勤が困難な地域に住んでいたり、障害者や老人の介護に車が必要であると判断されたりすると、条件付きで車を利用できます。

 

受給対象外となるのは、あくまでも生活状況や収入などに見合わない豪華な資産を保有している場合に限ります。

2. 病気や怪我などで働くことができない

労働できる状態であるにも関わらず、「働きたくないから生活保護を受給したい」といった場合は当然ながら受給できません。また働いていなくても、年金や手当などの収入が最低生活費よりも多い場合も受給不可です。

 

受給対象者は病気や怪我、障害、高齢など特定の理由でどうしても働けない人です。また医師の診断書があれば、精神障害者も生活保護を受給できる可能性があります。働く意欲こそあるものの社会に上手く適応できなくて、収入が得られず生活苦に陥る人が多いです。重度のうつ病やパニック障害などを患っている場合は障害者加算も受けられる可能性もあるので、福祉事務所に相談してみましょう。

3. 生活保護以外の公的制度を利用できない

年金や自立支援給付金、その他各種保障手当など、生活保護以外の公的制度を利用できる場合、まずはその制度を利用することが前提です。

 

生活保護はどの制度も利用できなかったり、利用した上で生活が困難であったりする場合にのみ利用できる最終手段です。

 

例えば母子・父子家庭の人は、母子寡婦福祉資金という公的制度を利用できます。子供の学費などにも使用できるお金を、無利子または限りなく低い利子で借りられる制度で、無理なく返済可能です。

 

このように生活保護以外にも利用できる制度があるので、まずは自分が適用する制度がないか確認しましょう。自治体でも相談することができます。

4. 親族からの援助を受けられない

自分に収入や資産がなくても、親族からの援助によって生活可能と判断されると受給できません。

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受給する際の注意点

受給する際の注意点

生活保護は「働かなくても十分なお金をもらえる」という制度に思いがちですが、もちろん注意点もあります。

贅沢な生活を送ることは難しい

そもそも生活保護は生活が困難な人の自立を助長することを目的とし、生活状況に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度です。

 

国や地方自治体から自立に向けての支援を受けているため、受給期間中は贅沢をするのは難しいです。ギャンブルやタバコ、お酒はもちろん、旅行や趣味といった娯楽への使用も制限される可能性があります。

 

生活保護受給者に対する世間の目は厳しい傾向にあり、あまりにも贅沢が目立つと厳しく追求されることも考えられます。

 

支援されていることを常に念頭に置き、過度な贅沢は控えるようにしましょう。

収入や出費を職員へ細かく報告する必要がある

生活保護を受給すると、毎月1回から年に数回ほど職員が自宅に定期訪問しに来ます。現在の収入状況や、高価な家財、衣服、娯楽などに使用していないか細かくチェックされます。

 

生活態度が悪いと判断されると、お金の使用方法や求職に関する聞き取り・アドバイスを受けます。場合によっては受給がストップする可能性もあります。

 

定期訪問だけでなく、抜き打ち訪問も実施されているので、日頃から節度ある生活を心掛けましょう。

ローンやクレジットカードの契約が困難

ローンを組んだりクレジットカードを契約するには安定した収入が必要なので、生活保護受給者は審査に通らない場合が圧倒的に多いです。

また「生活保護を受給していても融資できる」という金融業者は違法に営業しているケースが多いので、注意しましょう。

 

ローンやクレジットカードを利用したい場合、まずは支援なしで自立できるように努めましょう。

不正受給が発覚すると罰金を科される場合も

以下のように生活保護を不正受給していることが発覚した場合、その時点で支給がストップし、これまでの保護費の全額返金が命じられます。また詐欺に該当するため、罰金を課せられたり逮捕されたりするケースもあります。

  • 収入をごまかして多くの生活保護費を受給する
  • 労働できる状態であるにも関わらず労働できないと嘘を付く
  • 生活保護費で散財している姿を近所の人に目撃され、職員へ報告
  • 反社会勢力との関わりがあるにも関わらず隠匿する
  • 不実の申請や他人のなりすましでの不正受給
  • 他の市との二重受給

 

職員の調査だけでなく、第三者の目撃から発覚することもあります。不正受給は本来保護費を必要としている人に重大な迷惑をかけることとなるので、絶対にやめましょう。

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手続きの流れと支給日

手続きの流れ

1. 事前相談

福祉事務所で生活保護制度の説明を受けたり、生活福祉資金・各種社会保障施策などの活用を相談したりします。

2. 申請・審査

現在の生活状況や保有資産を自分自身で把握し、申請をします。仕送りなどの援助がないか、収入がどれくらいあるか、就労ができる可能性があるかなどの調査を受けます。

3. 支給

最低生活費から収入を差し引いた金額が、生活保護費として支給されます。

 

支給されるまでの生活費が足りない場合

相談から支給までは約1〜2週間かかり、すぐに受給できるわけではありません。なお支給されるまでの生活が困難な場合、臨時特例つなぎ資金貸付を利用できる場合があるので福祉事務所に相談しましょう。

支給日

生活保護費は基本的に毎月5日に支給されます。地域によっては1日や第1週の金曜日などに支給される場合がありますが、月初めに支給されるのが一般的です。

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申請が通らない場合の対策

  • 世帯収入や資産がわかるものを持参する
  • 事前に福祉事務所に相談する
  • パートナーや子供を連れて申請に行く
  • 相談で終わらないように申請する旨をきちんと伝える
  • 受給条件を再確認する

 

財政が圧迫している自治体の中には、申請を断ったり、審査せずに却下したりするケースも一定数あります。しかし、申請を受け付けないのは違法です。生活保護を申請する権利は誰にでもあるので、毅然とした態度で臨みましょう。

 

生活保護を申請する上で必要な書類は特にありません。しかし、現在の生活状況を正確に説明できるように、世帯収入や資産がわかるもの(通帳のコピーや給与明細)があるとスムーズです。

 

またいきなり申請するのではなく、福祉事務所に事前に相談したり、第三者を連れて行ったりすると通りやすいといわれています。

 

一方そもそも受給条件を満たしていなくて申請を却下されるケースも多々あるので、申請前に全ての条件を満たしているか再確認しましょう。

 

なお生活保護対象者の場合でも、キャリアアップやバイトの掛け持ちなどでより多くの収入を得られたり、親族に自分の現在の状況がバレるのを嫌って申請しなかったりする人もいます。生活保護の申請は慎重に行いましょう。

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