- インプラント相場は30万円前後
- 前歯のインプラントはオプションで価格が高くなりがち
- 安価なインプラント治療は内訳をきちんと確認することが大切
- インプラントは確定申告で医療費控除が受けられる
- 歯の治療に特化した「デンタルローン」もある
地域別・インプラント相場表
地域 | 相場 |
---|---|
東京都 | 35万円前後 |
大阪 | 32万円前後 |
愛知 | 33万円前後 |
北海道 | 28万円前後 |
その他の都道府県 | 28万円〜30万円前後 |
1本の抜けた歯に対して、1本のインプラントを埋入+1つの上部構造をセットした場合にかかる値段は、地域によって値段に差が出ます。
インプラント治療の相場は東京都内がもっとも高額で、その周辺の神奈川・千葉と2〜3万円の差があります。同様に大阪や京都、愛知などの都心部では相場が高くなり、その周辺では多少安くなります。
日本インプラントセンターによると、全国平均では2011年時点で32.5万円というデータがあります。
オプションなど治療内容によっては価格が変動します。
ブリッジを併用した場合の相場
ブリッジとは一般的には失った歯の両隣にある歯を削って、削った歯を支柱として橋をかけるようにダミーの歯を含む一体型の装具をかぶせる治療方法です。
インプラント1本のブリッジの相場は30~45万円です。
インプラント2本のブリッジ
- かぶせ物の素材:ハイブリッドセラミック
- アバットメントとは、インプラント体の上に取り付けられる、かぶせ物の土台
- インプラント本体は歯茎に埋め込まれる部分
インプラント本体部分2本と一体になった作り歯を装着するため、インプラント3本よりも値段が抑えられ、審美性も上がります。
インプラント6本のブリッジ
そのほか価格には仮歯での咬み合わせ調整、外科用のガイドなども含まれます。また歯肉の状態・義歯の種類などによって値段が異なります。
6本インプラントのように全体的に人工歯冠(かぶせ物)を橋渡しすることで、総入れ歯では実現できない、自然な見た目とかみ合わせを実現することもできます。
インプラントの費用項目
各歯科医院によってインプラント費用の内訳・記載方法が違いますが、大きく分けると次の2種の費用から構成されています。
1.インプラント導入費用
インプラント導入にあたり、必要な検査・診療・手術費用など。
2.インプラントそのものの値段
- フィクスチャー
インプラント体とも呼ばれ、人工歯根にあたる部分 - アバットメント
人工歯冠とフィクスチャーを繋げるための土台 - 人工歯冠
人工歯、かぶせ物。アバットメントと人工歯冠を合わせて「上部構造」と表示されることも
一般的なインプラント費用の内訳 | |
---|---|
検査料 (CTスキャン) | 5000円 |
精密検査 | 2万円 |
インプラント体 (人工歯根) | 20万円/ 本 |
土台 (アバットメント) | 5万円/ 本 |
人工歯冠 (セラミック) | 9万円/ 本 |
合計 | 36.5万円 |
オプションとしてよく追加される費用 | |
---|---|
GBR (骨誘導再生) | 10万円 |
ソケットリフト (上顎洞底挙上術) | 2万円 |
サイナスリフト (上顎洞底挙上術) | 10万円 |
静脈内鎮静法 | 1万円 |
※GBR(骨誘導再生):歯周病や虫歯などが原因で欠損した骨組織を再生、修復する治療法
※ソケットリフト(上顎洞底挙上術):上顎洞(上あご横にある骨の空洞)までの距離が短く、インプラントが打てない場合に用いられる治療
※サイナスリフト(上顎洞底挙上術):インプラントの挿入スペースを確保するために、顎の骨量を増やす骨増成手術
※静脈内鎮静法:静脈材や鎮痛剤、向精神薬を静脈内に投与することによって、歯科に対する痛みや術後の痛みや腫れを軽減する手法
上記の内訳は詳細まで記載されているタイプですが、歯科医院によって
- 手術費用
- インプラント上部
- 土台(アバットメント)
- 人工歯冠(セラミック)
のみの価格表示の場合もあります。
価格の安さで決めると、明示されていない支払いで割高になってしまうケースもあります。
- どこまでのオプションを含んでいるのか
- 手術費用は別途必要なのか
など、しっかりした確認が必要です。
前歯のインプラントは高くなりがち?
前歯と奥歯の値段設定は一般的には同額で表示されていますが、総額で見ると前歯のほうが割高になります。
理由は以下の通りです。
- 見た目を整える為にオプション価格がかかる
- 奥歯と骨の構造が違うため骨再生治療が必要になることも
オプションとオプション価格の例 | |
---|---|
骨再生 | +5万円〜15万円 |
歯周組織再 | +5万円〜15万円 |
ジルコニアアバットメント※ | +4万円〜6万円 |
※歯茎が薄い場合、金属製だと内部の金属が透けてみえるため、白色で強度の高い『ジルコニア』という素材に変更できる。
詳しくはこちらの項目>>アバットメントの素材
インプラント費用の決定要素
1.事前の検査費用
状態によっては、CTだけでなく、以下のような事前診査が必要になります。
- 精密検査
- 口腔内写真
- コンピューターシミュレーション
具体的にどの検査が必要になるのかは歯の状態により異なるため、見積もりの段階で検査費用について確認しましょう。
2.インプラントのシステムやメーカー
現在日本国内で使用されているインプラントシステムは国内外ブランドを合わせて100以上にもなりますが、信頼性を左右するメーカーによる価格差はかなり大きいです。
研究を重ね、データにより科学的に安全性が裏付けられたインプラントシステムはそれなりに原価がかかります。
中には15万円以下という破格の安さのものもあります。元祖をマネしたコピー品などは安価ではあるものの、その安全性に疑問が残ることも。安さに惹かれてメーカーを決めて使用していたら、数年後にそのシステムが廃止になるケースも。
マイナーなものだと特に、ネジは専用ネジとなり、他社のものと互換性がありません。さらに学術報告も少なく、トラブル発生時にも医師がどう対応していいのかわからないこともあり危険です。
3.かぶせ物の素材
審美性を重視して、素材にこだわるほど値段が上がります。
- オールセラミック
近年人気。セラミックは光を通すので、天然の歯のような見た目で、年月を経ても変色が少ない。審美性&強度を兼ね備えているが相場は高め。 - ハイブリットセラミック
オールセラミックより安価。レジン(プラスチック)とセラミックを混ぜたもので、オールセラミックと比べると年月を経たときに変色・変形しやすい。
精密な治療で、かぶせ物の耐久性向上の効果が期待できる歯科はこちら>>
精密審美歯科
4.治療ステップの多さ(審美性と安全性)
インプラントの治療ステップには以下の2パターンがあります。
- 1回法:インプラント設置に必要な外科手術を1回で終わらせる
- 2回法:外科手術を2回で終わらせる
また、外科手術の回数に加え、天然の歯を再現するための仮歯使用を希望する場合さらに工程がかかり、そのぶん価格も上がります。
1回法
歯茎を切開してインプラントを埋め込み、顎の骨に馴染むまで待ってからアバットメント(土台)に人工歯を差し込みます。
- メリット:1度でインプラント治療が終わるので、手軽で体への負担が少ない
- デメリット:細菌感染するリスクは2回法よりも高く、インプラントが完全に固定しきれていないため、動いてしまう可能性も
2回法
1回目の手術で歯茎を切開してインプラントを埋め込みますが、インプラントを顎の骨まで完全に埋め込んだうえで、歯肉をかぶせていったん縫合して閉じます。
その後3〜6か月期間をあけて、インプラントが顎の骨と完全に合体してから2度目の手術を行い、アバットメントと人工歯を設置します。
- メリット:顎の骨の量がやや少ないケースも含め、ほとんどすべての症例に適用できる
- デメリット:歯茎を切開する外科手術を2回行う必要があり、体の負担になる
5.アバットメント(土台)の素材
人工歯冠と人工歯根(フィクスチャー)を接着するアバットメント(土台)は一般的には金属のチタンが使用されていますが、歯肉が薄い方だと金属色が透けて見えてしまうことがあります。
オプションとしてジルコニア素材などのアバットメントに変更することが可能ですが、1本あたり4万円前後〜と価格が高くなります。
※ジルコニア素材とは:人工ダイアモンドともいわれるセラミック素材。白く強いので近年人気。
6.治療時間と人件費
1回あたりの手術は90〜120分であることが多いです。歯科医院によっては毎回のカウンセリングを丁寧に行ったり前後の時間に余裕をもった時間配分にするところもあります。
患者1人にかける時間が長くなるほど患者としては安心感がありますが、回転効率が落ちるため治療時間にかかる費用は高くなります。
外科手術にあたり、
- ドクター1名
- 外科アシスタント1名
- 器具の出し入れアシスタント1名
合計3名が必要になります。人件費はもちろん、スタッフの教習や研修にかかった時間なども含まれています。腕の良い医師・サポートメンバーを集めている歯科医院ほど、治療費が高くなります。
7.設備、器材
インプラントの原材料や人件費は大きく削れないため、格安インプラントを提供している歯科医院では、設備や器材の管理をカットしている可能性が高いです。
インプラントは外科手術なので、細菌感染リスクを下げるため細心の注意が払われるべきです。針、メス、手袋、バキューム、患者さんにかぶせる布など、使い捨てされるのが好ましいものも、きちんと処理されているのか衛生面で不安が残ります。
衛生的な環境を維持するために、個室の手術室・空調完備などがしっかりとしていることも大切です。
8.保証
保証内容はクリニックによって違います。10年もの間無償保証をするところもあれば、一部返金をもって保証とする場合、定期的な管理をする条件で保証する場合もあります。
保証が価格に含まれるか別料金になるかも変わるので、保証の有無と内容について確認しておきましょう。
医療費控除、ローン&保険適用ケースも
インプラントは費用が高いですが、実は様々な補助制度があります。
確定申告必須!医療費控除の対象になる
インプラント治療は、確定申告することにより、以下の条件で医療費控除の対象になります。
- 1年間に支払った医療費用の合計が200万円までの範囲
- 10万円以上の支払いに対して受けられる
還付金の計算式:
(医療費用の合計-10万円)×所得税率分
歯科治療費のための「デンタルローン」
デンタルローンとは、「歯科治療費」のみに利用可能なローンのことです。デンタルローンを使用することで月々無理のない範囲で支払うことができ、妥協のないインプラント治療の選択幅を広げることができます。
デンタルローンは銀行や信販会社から様々なプランがあります。信販会社は多くの場合、歯科医院と提携しています。金利は安ければ5%程度ですが、10%になることもありますのでよく確認しておきましょう。
デンタルローンの返済シミュレーションはこちらのサイトから>>
保険適用が認められる例外ケース
インプラント治療は自由診療にあたるため、一般的には全額自己負担になります。しかし下記の条件に当てはまれば、保険が適用されます。
- 生まれつき顎骨の1/3以上が連続して失われている状態。
- 上顎の1/3以上が連続して失われていて、鼻腔や副鼻腔へ繋がっているという診断がされている。
- 下顎の1/3以上が連続して失われていて、病気などにより切除したという診断がされている。
- 顎骨の形成不全
- 骨の移植により顎骨の再建がされた状態
インプラント費用を安全に安く。確認ポイント5つ
1.インプラント1本あたりの費用内訳
広告を見ると1本15万円などという格安価格を提示しているクリニックもありますが、本体価格のみの場合があります。
- 麻酔
- 経過観察費
- 事前診査料
など、その他の料金がかかるにも関わらず、表記されていないことも。広告のインプラント1本の表示価格が、実際にどれだけの内訳を含むのか必ず確認しましょう。
2.カウンセリングが丁寧か
魅力的な価格を提示しておいて、治療がスタートしてから事前に説明のなかった追加治療がどんどん追加されていく場合もあります。
知らないうちに莫大な治療費になってしまう事態を回避するためにも、下記のポイントをチェックしておきましょう。
- カウンセリングの価格
- 治療方針のオプション・価格を丁寧に提示・説明してくれる
3.治療部位によるオプション価格
前歯は目立つため、審美(見た目の美しさ)面から使用する素材を良いものに変えるなど、自然な見た目にするために追加費用がかかることがあります。
インプラントは1本あたりの価格を提示されますが、治療部位によってはオプションがいくつか必要になることがあります。治療部位のインプラントに必要なオプション価格は必ず確認しておきましょう。
オプション料金は、歯科医院によりかなり開きがあるので要チェックです。
4.治療後のメンテナンス費用
インプラント治療は、終了後も3~6か月に1回ペースの定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスは自由診療になるため、歯科医院、手術方法、治療した本数にもより様々です。中にはメンテナンス費用1回2万円というところもあります。
とくに施術から3か月の間は頻繁にメンテナンスに通う可能性が高いため、費用についても事前確認しておきましょう。
5.トラブルの保証は十分か
インプラントは半永久的な歯だと言われていますが、事故による破損、歯ぎしりによる欠けなどトラブルが起きる可能性は十分にあります。
インプラントの再治療が必要になった場合、保証が適応されるかどうかは歯科医院により異なります。
- 条件(メンテナンスを受けるなど)
- 期間(3年〜10年など期間が決められている)
- 金額の限定(一定の保証金額が決められている)
どこまで保証してくれるのか、保証料は総額に見合うものなのか確認しましょう。
参考: